「公共工事を取りたいが、ランクの上げ方がわからない」 「経審の点数が低いままだと、仕事が回ってこないのでは?」
公共工事の入札に参加するためには、建設業許可を取るだけでなく、「経営事項審査(通称:経審/けいしん)」を受けて、自社の実力を点数化(P点)する必要があります 。
本記事では、愛知県・名古屋市で入札ランクを上げるための現行のP点対策と、絶対に守るべき新ルールについて解説します。
経営事項審査(経審)とは:会社の「通信簿」
経審とは、建設業者の「企業力」を国が客観的な数値で評価する制度です。
ここで算出される「総合評定値(P点)」をもとに、愛知県や名古屋市は「Aランク」「Bランク」といった格付けを行います。
入札までの4ステップ
- 建設業許可を取得する。(スタートライン)
- 経営状況分析(Y点)を申請する。(民間の分析機関へ)
- 事業年度終了届を提出する。(自治体)
- 経営事項審査(P点)を申請する。(自治体)
- 入札参加資格審査を申請する。(名簿に登録)
経審結果の有効期間は「決算日から1年7ヶ月」です。空白期間を作らないよう、毎年の決算終了後に必ず受審する必要があります。
総合評定値(P点)の仕組みと「点数を上げる」戦略
1.P点は5つの項目から算出されます
現在のP点は、次の計算式で算出されます。
P=0.25X1+0.15X2+0.20Y+0.25Z+0.15W
| 評価項目 | 主な評価内容 | P点への割合 |
| X1 | 工事種類別の完成工事高 | 25% |
| X2 | 自己資本額・利益額 | 15% |
| Y | 経営状況・財務内容 | 20% |
| Z | 技術職員数・元請完成工事高 | 25% |
| W | 社会性等 | 15% |
| 合計 | 100% |
特にX1(完成工事高)とZ(技術力等)で50%を占めるため、公共工事を目指す会社にとって重要なポイントです。
2.総合評定値(P点)を上げるための主な対策
| 項目 | 点数アップにつながる主な対策 |
| X1 | 希望する工事業種の完成工事高を増やす |
| X2 | 利益を確保し、自己資本を充実させる |
| Y | 借入金・負債等を適切に管理し、財務体質を改善する |
| Z | 施工管理技士などの技術者を確保・育成する、元請実績を増やす |
| W | 制度上評価される社会性・法令遵守・防災活動・建設機械等を確認する |
3.「売上を増やす」だけではP点は上がらない
P点は完成工事高だけで決まるものではありません。
例えば、売上が増えても、
- 利益が少ない
- 自己資本が少ない
- 技術者が少ない
- 元請実績が少ない
といった場合、P点の向上につながりにくいことがあります。
そのため、
「売上を増やす」+「利益を残す」+「技術者を増やす」+「元請実績を作る」
という総合的な対策が必要です。
4.P点対策は「目標から逆算」する
単純に「P点をできるだけ高くする」のではなく、取得したい公共工事から逆算することが重要です。
P点対策の基本的な流れ
- どの公共工事を受注したいか決める
- 必要な入札参加資格・格付を確認する
- 現在のP点を確認する
- X1・X2・Y・Z・Wの弱点を分析する
- 改善効果の高い項目から対策する
- 1~3年程度の計画でP点を引き上げる
5.P点対策で特に重要なポイント
| 対策 | 短期 | 中長期 |
| 完成工事高を増やす | ◯ | ◎ |
| 元請工事を増やす | ◯ | ◎ |
| 技術者を採用する | ◯ | ◎ |
| 資格取得を支援する | △ | ◎ |
| 利益を確保する | ◯ | ◎ |
| 自己資本を充実させる | △ | ◎ |
| 財務体質を改善する | △ | ◎ |
| 社会性等の評価項目を確認する | ◯ | ◯ |
経審直前だけでP点を大幅に上げるのは難しいため、普段の経営から対策することが重要です。
6.愛知県で公共工事を目指す場合の注意点
愛知県では、経審のP点だけでなく、入札参加資格における総合点数や格付・発注基準も確認する必要があります。
したがって、
建設業許可
↓
経営状況分析申請
↓
事業年度終了届
↓
経営事項審査(経審)
↓
P点取得
↓
入札参加資格申請
↓
格付・発注基準を確認
↓
公共工事へ入札
という流れで考えることが大切です。
また、法改正に注意して、P点対策を行う際は最新の基準を確認する必要があります。
まとめ
P点対策のポイントは、次の5つです。
- 希望業種の完成工事高を増やす
- 元請実績を増やす
- 技術者を確保・育成する
- 利益・自己資本を充実させる
- 財務・社会性等を含めて総合的に改善する
つまり、「P点を上げるためだけの対策」ではなく、「公共工事を受注できる強い会社をつくること」が本当のP点対策です。